近年、墓じまいを考える方は少なくありません。
厚生労働省が公表した衛生行政報告例によると、2022年の改葬件数は15万1,076件であり、これは統計史上最高の数値です。
しかし、墓じまい件数の増加に伴って、トラブルも急増しています。
特に、住職の方と衝突になるケースが多く、お寺にお墓がある場合は注意が必要です。
この記事では、墓じまいにおける、お寺に関するトラブルの事例と、トラブルが起きた際の相談先、トラブルを事前に防止するためのポイントを紹介します。
墓じまいとは?
墓じまいとは、「墓石を撤去・解体し、墓所を更地にして、借りていた土地を所有者へと返還するという一連の流れ」を指す言葉です。
加えて、取り出した遺骨は別の場所に納める必要があるので、遺骨を供養して、新しい墓所に移動するまでを指して「墓じまい」というケースもあります。
この際、遺骨を勝手に移動・破棄することは法律で禁止されているため、役所や墓地管理者、移動先の墓所から行政書類を発行してもらう必要があります。
【墓じまいするときは要注意】お寺に関するトラブルを大解説
墓じまいをする際、最初にしなければならないのは、お寺や墓地管理者の方に、墓じまいしたい旨を伝えることです。
お寺に対して連絡や相談を怠ってしまい、お寺側と関係が悪くなってしまったというのは、トラブルの事例としても多いです。
また、お寺は法事も多く、それに付随したトラブルも多く確認されています。
ここでは、そんなお寺に関するトラブルについて解説します。
高額な離檀料を請求される
「離檀料」は、墓じまいにおいて、離檀の際に感謝の気持ちで包む、お布施の一種です。
なお、「離檀」とは、お寺からお墓を撤去して、檀家を離れることです。
離檀料はあくまでお布施なので、支払い義務はないですが、お寺が発行する埋蔵証明書がなければ墓じまいはできないので、円滑に進めるためにも支払った方がよいでしょう。
しかし、離檀料はお寺側が自由に設定できるため、中には、法外な金額を請求されてしまうケースもあります。
離檀料の請求金額例
離檀料は、おおよそ5~20万円ほどが相場だと言われています。
「法要1回分」というお寺や、そもそも離檀料を取らないといったお寺もあるので、あくまで目安程度にとらえてください。
しかし、中には200~300万円という高額な離檀料を請求されたケースもあり、こういった離檀料に関するトラブルは、ニュースでも取り上げられました。
もし、不当だと思うほどの高額な請求を受けた場合、お寺と話し合う他、「離檀料交渉実績」のある業者を頼るとよいでしょう。
閉眼供養を強制させる
墓じまいをする際、閉眼供養をするのが一般的です。
「閉眼供養」とは、お墓から仏様の魂を抜く法事のことです。離檀料とは別に、おおよそ1~3万円ほどを支払います。
閉眼供養は、言ってしまえば概念的なものなので、魂抜きが不要と考える方は、寺院に依頼する必要はありません。
しかし、魂抜きを行わないと、寺院や親族から非難されて、トラブルに発展する可能性があります。
また、墓石の撤去・解体は石材店が担当するのですが、閉眼供養をしていないと工事しないというお店もあります。
遺骨を引き渡さない
法外な離檀料の請求の他に、お寺側がそもそも遺骨を引き渡さないといったトラブルもあります。
事例の一つとして、墓じまいの際、お寺と相談せずに、石材店とだけ話を進めた結果、住職の方が快く思わず、遺骨の引き渡しを拒否したといったものがあります。
遺骨の移動には「埋蔵証明書」の発行が必須であり、これには墓地管理者の署名と捺印が必要です。
不要なトラブルを生まないためにも、墓じまいの際は、お寺とよく話し合っておきましょう。
管理者への連絡ミス
管理者への報告なく工事業者を呼んでしまい、お寺側から、石材店が立ち入りを拒否されたといったトラブルも報告されています。
墓じまいをする際、墓石の撤去や解体は、石材店といった専門業者が行います。
規模の大きい工事なので、前もって墓地管理者にスケジュールを伝えておきましょう。
未納管理費等を請求される
お墓の管理費を滞納していた場合、墓じまいの相談をしたときに、過去の未納管理費を請求されることがあります。
この場合、民法で定められた消滅時効により、5年以上前の未納管理費については、お寺側は請求する権利を失っています。
しかし、無用なトラブルを避けるためにも、未納管理費については支払うことも視野に入れておく方がよいでしょう。
お墓から身元不明のお骨が出てくる
お墓から遺骨を取り出す際、自分の把握していない、身元不明の遺骨が出てくることがあります。
身元不明の遺骨は、読経供養を行ってもらえば、お墓から取り出すことができます。
また、自治体に申請して遺骨を再火葬する、専門業者に洗骨してもらうことで、埋葬し直すことも可能です。
身元不明の遺骨が出た際は、まずは石材店や地方自治体に相談して、協力を仰ぎましょう。
トラブルが起きた際の相談先とは?
トラブルは事前の準備で避けられるものもありますが、手違いや、お寺側から無理な要求をされてしまうなど、トラブルに直面してしまう可能性は拭えません。
ここでは、実際にトラブルが起こってしまった際の相談先を紹介します。
国民生活センター
生活にまつわるトラブルや困りごとは、国民生活センターに相談するのがおすすめです。
電話での相談受付の他、お墓やお葬式のよくあるトラブルの事例が掲載されており、墓じまいで困ったときに、他の人の解決を参照することもできます。
トラブルに直面してしまい困っている方は、まずは電話で相談してみるのも良いかもしれません。
弁護士
お寺側との交渉が決裂している場合、弁護士に頼るのも一つの手です。
法律の面から強いバックアップが得られますが、しかし、相談料がかかる場合もあります。
相談料は5〜10万円程度を見積もっておくとよいでしょう。
費用こそかかりますが、距離や費用の問題から直接交渉ができない方や、お互い感情的になって話がこじれてしまっている方にはおすすめです。
専門業者
墓じまいには専門としている業者が多数あります。
お寺との交渉はもちろん、中には「離檀交渉」や「行政書類代行サービス」といったオプションを用意している業者もあり、最後までトラブルなく墓じまいをすすめたい方におすすめです。
墓じまいの専門業者については、以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
墓じまいの代行って何するの?作業の流れから依頼するコツまで徹底解説します!
墓じまいのトラブル防止ポイントとは?
墓じまいで起こるトラブルは、多くがお寺側との認識のずれや考え方の違いに起因します。そのため、トラブルの原因を知っておけば、事前に防げるものも多くあります。
ここでは、トラブルを防止するための方法を紹介します。
信頼できる業者を探す
墓じまいを考えている方は、基本的には、墓じまいの業者を頼ることをおすすめします。
蓄積された実績と専門知識があるので、先んじてトラブルを避けることができます。
また、お寺との交渉の他にも、工事の段取り決め、石材店の紹介、新しい遺骨の供養先の紹介など、墓じまいに必要なこと全てを行ってくれます。
わたしたちの墓じまいがおすすめ
「わたしたちの墓じまい」は、18年もの創業実績と、業界屈指の最安値を誇る会社です。
料金体系が明瞭であり、また離檀交渉といったオプションも充実しているため、いざトラブルに巻き込まれても安心です。
菩提寺・霊園と密に連絡を取る
お寺とのトラブルが起きてしまう原因として多いのが、自身と住職の方、双方の考え方や付き合い方にギャップがあるといったものです。
お寺側が無理な要求をする場合、依頼者が無意識に非礼と思われるような行為をしている可能性もあります。
墓じまいをする際には、墓じまいをしたいことをきちんと伝えて、改葬のことやお金のこと、工事の日程など、住職の方とこまめに連絡・相談をしながら進めましょう。
弁護士や専門知識を持った第三者を頼る
トラブルを避ける上でもっとも重要なのは、お寺との連絡を密に取ることです。
しかし、中には「高額な離檀料を請求される」「遺骨の引き渡しを拒否する」といった、お寺に問題があることもあります。
高額な請求に困った時などは、弁護士や国民生活センターに相談すると良いでしょう。
お寺に関するトラブル対策には専門業者がおすすめ
お寺とのトラブルは、やはり専門の業者に頼るのがおすすめです。
ここでは、その理由を2つ解説します。
専門知識を持って対応してくれる
墓じまいの業者は、多くのトラブル解消実績があり、蓄積された知識もあります。
エキスパートに対応してくれる専門業者に依頼すれば、無用なトラブルを避けることができ、またトラブルに遭った際も、手厚いサポートを受けられます。
値段がリーズナブル
墓じまいの業者は、墓じまいの一連の流れを全て行う「セットプラン」を用意していることが多いですが、業者によっては「離檀交渉のみ」や「石材店の紹介」といったオプションのみの依頼も可能です。
必要なオプションだけを依頼すれば、その分費用を抑えることができます。
また、相談は無料という業者もあるので、困ったら無料相談から始めるのも良いでしょう。
【まとめ】墓じまいを円滑に進めるには、お寺に関するトラブル対策が大切!!
この記事では、墓じまいにおけるお寺とのトラブルの例や、トラブルが起きた場合の相談先、そしてトラブルを防止するためのポイントについて解説しました。
トラブルを防ぐ上でもっとも有効なのは、やはりお寺側との連絡をこまめに行うことです。お寺側にきちんと感謝の意を示して、お互いに協力し合えるような関係を築くことが理想です。
しかし、寺院によっては、経営難などの理由から、法外な離檀料を請求する、遺骨の移動を認めないといったケースもあります。
もし、トラブルに遭ってしまった場合は、国民生活センターや弁護士、専門の業者へと相談しましょう。
トラブルは知っておくことで回避できるものも多いので、この記事がトラブル防止の参考になれば幸いです。