高齢化が進んだ現代では、お墓の管理に対して、精神的・金銭的な負担を感じる方は少なくありません。
そこで、近年注目されているのが墓じまいです。
墓じまいとは、墓石を撤去・解体して、墓所を更地にし、墓地管理者に土地を返還する一連の流れのことを指します。
墓石を撤去する際、遺骨は供養して、新しい墓所へと移動します。
また、遺骨を供養する際、散骨を考える方が増えています。
散骨はお墓の維持や管理の必要がなく、次世代への負担が少なくなる供養の方法です。
この記事では、散骨についての解説や、墓じまいから散骨までの流れ、墓じまい・散骨業者の選び方を解説します。
散骨とは?
散骨とは、取り出した遺骨を供養する方法の一つです。
遺骨を粉骨、すなわち粉末化して、海洋や森林へと撒くことで供養します。
墓じまいでは通常、遺骨は取り出す前に供養を行い、供養後に新しい墓所へと移動するのですが、散骨の場合は、供養後に遺骨を自然に還すので、新たにお墓を設ける必要がありません。
そのため、お墓の維持や管理、参拝といったものがないという特徴があります。
散骨の種類を一挙紹介
多くの場合、遺骨は土中に安置して、墓石を設けて弔いますが、散骨の場合はお墓を用意せず、骨粉化した遺骨を自然へと還します。
遺骨を撒く場所は多種多様であり、基本的には故人の方にゆかりがあった場所を選ぶことが多いそうです。
ここでは、散骨の種類や選ばれる場所について解説します。
海洋散骨
海洋散骨は、文字通り、海に遺骨を撒く方法です。
港湾や漁場、養殖場、海水浴場といった生活圏に撒くのはマナー違反とされているため、陸から30分~1時間ほど離れた沖合で行います。
船舶の用意が必要なため、ほとんどが業者の手を借りて行われます。
また、海洋散骨には、3つの方法があります。
- 個別散骨:船を貸し切って、沖合で散骨する。
- 合同散骨:複数のご遺族で乗り入れて、沖合で散骨する。
- 委託散骨:業者に遺骨を預けて、散骨を委託する。
自分の考えに合った散骨ができるように、業者のプランをよく確認しておきましょう。
森林散骨
森林散骨では、遺骨を山や森へ撒きます。
山に撒くだけという、一見シンプルな方法に思われますが、注意するべき点が2つあります。
1つ目は、土地の所有者の許可が必要だということです。
山や森の所有者の方はもちろん、近隣住民にも迷惑や被害がないようにしなければなりません。
2つ目は埋蔵行為にならないように注意することです。
遺骨の上に少しでも土や葉を被せてる行為は、埋蔵行為にあたります。
埋蔵は墓地と定められた場所以外で行うと違法となってしまうので、十分に注意しましょう。
埋葬行為の問題もあり、陸地での散骨は制限が多いので実施数は少ないです。
バルーン散骨
バルーン散骨では、大きなバルーンに骨粉を入れて飛ばします。
バルーンは一定の高さまで行くと気圧の変化で破裂し、遺骨が散らばります。
遺族が自身の手で飛ばすため、印象に残る供養になるでしょう。
バルーン遺骨は、家族の遺骨を一緒に飛ばすこともできます。
散骨するメリット2選
散骨は、現代日本において、それほど普及していません。
遺骨を一度撒いてしまえば、もうお墓参りなどはできなくなるので、遺族としては心理的に迷うこともあるでしょう。
しかし、墓じまいにおける散骨には、大きなメリットも存在します。
ここでは、散骨をするメリットを2つ紹介します。
お墓管理の負担がなくなる
散骨における一番のメリットは、後世の方の負担を減らせることでしょう。
お墓がある場合、普通は管理やお参りが必要になり、また寺院などに管理を任せている場合はお布施を納めなければなりません。
それに、お墓は急になくなることがないので、一生付き合っていく必要があります。
しかし、散骨してしまえば、それ以降の手間はかかりません。
管理や継承といった問題から解放され、また転居などの制限をなくすこともできます。
費用が安い
散骨は、費用の面でも大きなメリットがあります。
お墓を設けるには、墓石や土地代、供養や法事の依頼といったものを用意する必要があり、初期費用が大きくかかります。
その上、管理費や交通費も追加で発生し、お墓が寺院にある場合には、お布施や維持費といった請求も重なります。
お墓にまつわる金銭に負担を感じている方は、散骨を選べば、初期費用や維持・管理費の両面から、負担を抑えることができます。
散骨する注意点
散骨は後世への負担を減らすことができますが、一度行ってしまうと取り返しがつきません。
後悔をしないためにも、散骨のデメリットは、よく確認しましょう。
ここでは、散骨に対する注意点を2つ紹介します。
遺骨が戻ってこない
遺骨は、時に遺族にとって大きな慰めになります。
もし散骨してしまえば、遺骨は手元からなくなり、またお墓参りもできません。
故人の意思を尊重したとしても、後悔をしてしまう可能性があります。
親族とのトラブルになる
散骨はメジャーな方法とは言えないので、周囲から反発を受けることがあります。
もし散骨を考えているならば、親族の方々とよく話し合って、理解を得るようにしましょう。
【墓じまいから散骨まで】散骨の流れを大解説!!
散骨にはデメリットもありますが、負担を減らせるメリットはやはり大きいです。
墓じまいの際には、遺骨を取り出したあと、改葬をせずに自然に還してしまえば、その後の手間や費用を抑えることができます。
ここでは、散骨をする場合の、墓じまいから散骨までの流れを解説します。
墓じまいと散骨することを親族に相談する
まずは、墓じまいをすること、そして散骨することを、親族の方々に説明しましょう。
お墓には先祖代々の遺骨が納められており、お墓を残しておきたい、手を合わせたいという方は少なくありません。
非常に繊細な問題であり、トラブルにも発展しやすいので、先祖に関わる人にはできるだけ散骨する旨や事情を伝えて、許可や理解を得るようにしましょう。
墓地管理者に墓じまいする許可を得る
次は、墓じまいしたい旨を墓地管理者へと伝えます。
管理してくださっている方は、代々にわたってお墓を守ってくださっています。
円満に進めるためにも、角が立つような話は避けて、きちんと事情と感謝の気持ちを伝えましょう。
墓じまい業者を探す
墓地管理者から許可を取ったら、次は墓じまいの業者を探します。
墓じまいの際は墓石を撤去・解体し、基礎を壊して、墓地のあった場所を更地にしなければなりません。
墓じまいを専門で行っている業者を頼ってもいいですが、石材店に直接相談した方が安く済む場合もあります。
理由としては、墓じまい業者であれば、遺骨の移動先のあっ旋や行政書類の用意などを代行してくれますが、散骨を選ぶ場合は、それらのオプションが必要ないからです。
石材店は解体業者とは違って、墓石についての知識があります。
複数の石材店から見積もりをとって比較するようにしましょう。
散骨業者を探す
散骨は資格や専門的な知識を必要としないので、やろうと思えば個人でも行うことができます。
ですが、自身への負担はとても大きいです。
まず、散骨の際は、遺骨を粉末状にしなければいけません。
粉骨作業は精神的な負担が非常に大きく、また散骨場所も探す必要があり、土地の管理者から許可を得なけらばなりません。
このような苦労があるので、専門の業者を頼るのをおすすめします。
散骨の業者は粉骨作業を代行してくれるほか、自身の希望に沿った散骨場所の提案やセッティングをしてくれます。
また、散骨独自のルールに詳しいためトラブルを事前に防ぐことも可能です。
墓じまいの手続きや提出書類を確認する
散骨の業者を頼る際、遺骨の身元を証明する書類を求められることがあります。
「火葬証明書」や「埋葬証明書」など、業者によって求められる書類が違うため、事前によく確認しておきましょう。
閉眼供養をする
工事の段取りや散骨業者との話し合いが終わったら、いよいよお墓を解体します。
お墓を取り壊す前に遺骨を取り出すのですが、遺骨を取り出す際「閉眼供養」という、お墓から仏様の魂を抜く法事を行います。
事前に住職の方などに閉眼供養の依頼をしておきましょう。
相場としては1〜5万円ほどですが、閉眼供養を行わないと、石材店から解体を断られることがあります。
円満に進めるためにも、閉眼供養はきちんと行いましょう。
遺骨を取り出し、暮石を撤去する
閉眼供養が終わったら、遺骨を取り出して、墓石の撤去・解体工事を行います。
閉眼供養と同日に行う人もいますが、別日に行っても問題はないので、都合のよい日に工事を依頼しましょう。
墓石の解体や遺骨の取り出しについては、石材店や墓地管理者に委託しても大丈夫ですが、散骨業者に引き渡すまでの遺骨の管理は、親族で行わなければなりません。
遺骨は直射日光が当たらない、湿気の少ない場所で保管しましょう。
遺骨を散骨業者に渡す
お墓から取り出した遺骨を、散骨業者へと渡します。
渡し方には2種類あり、手渡しする方法と郵送する方法があります。
郵送の場合、「日本郵便のゆうパック」のみが許可されているので、注意しましょう。
また、郵送を考えている方は、骨壺の蓋が取れないように留める、割れないように緩衝材を入れるなど、丁寧に梱包しましょう。
散骨業者によっては、郵送セットを販売している場所もあります。
散骨をする
散骨する日になったら、散骨業者の指示に従って、散骨を行います。
自然に還るものであれば、副葬品などを一緒に散布することができます。
墓じまい業者の選び方とは?
墓じまいの業者を選ぶ際、特に散骨を考えているのであれば、オプションが充実した墓じまいの業者を選ぶとよいでしょう。
墓じまい業者は、オールインワンパックといったプランを用意しているところも多いですが、散骨の場合は、通常の墓じまいとは流れが異なります。
行政手続きや遺骨の移動、新たな墓地の用意などが不要なため、オプションが充実していて、必要なことだけを依頼できるような業者を選ぶとよいでしょう。
業者によっては遺骨の一時預かりや離檀交渉といったサービスもあります。
墓じまい業者なら「わたしたちの墓じまい」がおすすめ
私たちの墓じまいは、創業18年の実績をほこり、相場に比べて価格が安価です。
非常にオプションが充実しており、散骨といった供養方法にも、親身になって対応してもらえます。
「わたしたちの墓じまい」以外の墓じまい業者も気になっている方は、以下の記事をチェックしてみてはいかがでしょうか。
散骨業者の選び方とは?
散骨業者を選ぶ際に注意するべき点は、主に2つあります。
1.料金体系が明確であること
墓じまいや散骨は法事的な要素が強いため、基本料金があまりに安い業者を選ぶと、不明瞭なオプションを付けられて、法外な請求をされてしまう可能性があります。
契約前には見積もりをとり、料金内容をしっかり把握するようにしましょう。
2.実在する業者かどうかを確認する
遠距離に住んでいるなど、直接店舗に行けない方は、必ず店舗が実在するかを確認しましょう。
ホームページを確認するだけでなく、地図アプリの利用やスタッフとの連絡を密にして、所在地を明確にすることをおすすめします。
不安な方は、法人化している会社を選ぶと安心です。
【まとめ】墓じまいや散骨には業者の力が必要不可欠
この記事では、散骨についての説明や、墓じまいから散骨までの流れを解説しました。
墓じまいや散骨は交渉事が多く、また複雑な手順や法律的な知識を求められる場面もあるため、個人で行うには非常にハードルが高いです。
トラブルに直面しないためにも、きちんと業者に依頼することをおすすめします。
また、散骨は特に親族とのトラブルに発展しやすいです。
自分の考えだけでなく、親族の方、そして何より故人の方の意思をきちんと尊重して、みんなが納得するような供養方法を選択しましょう。